2012年 09月 27日
スイカを食べた夏
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「じいちゃん、看護師さんに家帰って何食べた?って聞かれても

スイカ食べたって言ったらいかんよ。」

「おぉわかっとるぞ。」

「スイカ食べたって言ったら怒られるけんね。桃食べたって言うんよ。」

「言わんぞ。わしはなんも言わんぞ。」

そう言って、今年のお盆にはおじいちゃんがずっと食べたかったスイカを

食べさせてあげました。


+


私のおじいちゃんは、若くしておばあちゃんを亡くしてから

ずっと一人で畑仕事を頑張ってきた偉いおじいちゃんです。

毎年、色んな作物を作ってきましたが、中でもスイカと里芋作りの名人だったのです。

里芋は、日本一をとって表彰されたこともあるくらいです。

スイカは、里芋のように賞をもらったことはないけれど

瑞々しくて甘くて、「 美味しいスイカを作るおじいちゃん 」として

市場でもちょっと有名だったようです。


+


そんなおじいちゃんも今年で御年96歳。

今ではすっかり心臓も悪くなり、一日の水分量や食事を制限されています。

去年は、看護師さんから一時帰宅の時に、

「コップ一杯分くらいなら水分摂ってもいいですよ。」

と許可が出て、美味しい白桃を食べさせてあげたんですけど

今年は、ずっとずっと禁じられているスイカを食べさせてあげました。

これは母が決めたおじいちゃんへの想いからです。


何年ぶりかに食べるスイカを目の前に、おじいちゃんは本当に嬉しそうな顔をして

「ありがとう。ありがとう。今日はじいちゃんの命の洗濯じゃ。」

と言って、それはそれは本当に美味しそうに食べました。


+


食べてはいけなものを食べさせるのはいけないことだけど

少々の量ならいいんですよ。

人生食べたいものも食べずして死ぬなんて

これほど心残りなことはありません。

あのおじいちゃんの満たされた顔が見れてすごく嬉しかった!

おじいちゃんも何度も

「今日は命の洗濯じゃぁ」を連発し、「うまかったぁ。うまかったぁ。ありがとう。」

と言ってくれました。


+


家から出る時にもう一度念を押して

「看護師さんに何食べた?って聞かれてもスイカを食べたって言ったらいかんよ。」

というと

「おぉわかっとる。今日はじいちゃんはなぁんも食べとらん。」

と、おじいちゃんの男前な返事が返ってきました。

そういうことで、今年のお盆は、

『 おじいちゃんがスイカを食べた夏 』という素晴らしいお盆でした。

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by happymugi | 2012-09-27 23:28 | たいせつ・きもち


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